
医師が転職する際にはしっかりとしたビジョンと現実を把握する
医師として転職を考えておられる方も多くおられると思います。
医師の3人の内1人は転職を考えている人がおり、アンケートの結果では転職したことがある医師は約33%、転職活動のみの経験者も合わせると約41%にも上るので、転職を考えている人も多いですが、転職をする際はいくつかのポイントを抑えておくことが大事になります。
まずは、首都圏近郊では特に必ずしも売り手市場では無くなってきたという現状になっています。
医療制度の改革により医局を出る人が増えるようになっていき、人が増えるようになった分、施設側も採用の経験値を上げてきています。
そのため、転職の際の病院選びも重要になってきており、自分の転職のビジョンをしっかり持つことも大切になります。
転職の動機が曖昧で明確になっていないなら、再度転職を繰り返してしまうことになります。
希望する年収や雇用条件、福利厚生、現場の状況など、ある程度の自分の条件を整理しておくことが大事になります。
ただ、年収にしても医師の年収は高年収で1600万円ほどのになります。
その収入以上の希望額を要求すると、転職としては現実的ではありません。
好条件を求めることは転職の際のモチベーションにもつながりますが、ある程度の現実を見て転職を考えないと、元の職場の方が良いと思って後悔してしまう結果になることがあります。
転職を考える前に自分の条件と現実の転職先の差は大きいのか小さいのか把握しておくことが大事です。
転職
求人情報を細かくチェックする
条件について施設側はあいまいにしていることが多いです。
例えば報酬の麺です。
一般的に大学病院よりも民間病院、都市部よりも郊外や地方の方が年収は高く設定されています。
そのため、年収に関してだけ言えば、民間病院や郊外の方が条件が良いということになりますが、それだけで決めてしまうと後悔してしまうことにもなります。
民間病院や地方病院が年収を高く設定しているのは、医師の人数が足りないためです。
そのため、年収以外の勤務日数や担当患者数、当直やオンコールの頻度などは多くなることがあります。
勤務日数や当直が多くなれば仕事をする時間は増えてしまい、休暇をしっかり取ることは難しくなります。
また、福利厚生も合わせて確認するようにすることができます。
借り上げ社宅が付いていることや学会加入費、学会出席の交通費などは支給してくれるのかも確認する必要があります。
考慮してくれなければ、年収は高くても報酬は少ないことになります。
診察内容や体制も聞いておくことができます。
チーム制を取っているなら、その実態はどうなっているか、夜間の診療は当直医が行うのか主治医が呼び出されるのかなどを確認することが大事になります。
組織体制によっては若手の指導を任される場面もあります。
施設内容や体制を確認する際は見学して自らの目で確認することができるのか、子育て中ならば育児休暇などの支援が整っているのかを確認します。
転職をする際は面接でこれらの内容を確認することも大事です。
転職に失敗してしまうケース
医師の転職を考える際に失敗してしまうケースもあります。
まず1つ目は1つの病院だけを見て決めてしまうことです。
転職する際は自分も忙しいため、できれば早めに決定したいと思うかもしれません。
医療機関は医師を採用したいと思い、担当医に悪気が無かったとしても都合が良いところを強調して採用したいと思います。
良いところだけを鵜呑みにして、1つの病院で性急に決定してしまうと転職した際、自分が思っていたのと違って後悔してしまうことになります。
転職の際は1つの病院だけでなく、2、3個の病院を見ておくことが大事になります。
忙しい中で転職を考えることは難しいので、あらかじめ余裕を持って転職活動を始めるのが良いです。
また、ツテや先輩などの紹介で転職するのも失敗する可能性があります。
紹介者が信頼できる人でも自分の条件に合っているかどうか知ることができず、転職した際に不満があってもツテである以上、辞めにくい環境と言えます。
口約束のみで成立してしまうこともあるため、年収などの条件も簡単に変えられてしまうこともあります。
ツテである場合は書面で契約してもらうようにする必要があります。
3つ目は中の人や体制を知らずに転職することです。
年収や福利厚生などの条件は良くても、一緒に働く医師の上司との考えがズレていたり、病院の経営が厳しかったりするとやりたいことができなくなることもあります。
転職活動の際は性急さや準備不足、契約内容の仕方に注意する必要があります。