開業医が失敗しないためのポイントとは?
自分の得意不得意を把握する
開業する際、大半の人が物件選びから始めることが多いのですが、その前にすべきことがあります。
それは、自分の得意分野と不得意分野を把握しておくことです。
これは、紙などに書き出すと、把握しやすくなります。
その中で、どうやって得意分野を活かすかということを考えて行きましょう。
内科系の経験がある人でも、「子供はほとんど診たことがない」「糖尿病の治療は詳しくない」などということが明確になったりします。
また、外科系の経験がある人なら、開業してから手術ができなくなるとではないかという不安を抱えていることも多々あります。
しかし、外科の経験を別の場面で活用することは可能です。
例えば、呼吸器外科の経験があるなら呼吸器内科へ行くなど、関連性の強い分野であれば十分活用できます。
そして、自身の得意分野と不得意分野が分析できたら、医院のコンセプトを決めて行きます。
中でも、内科系は競争が激しいので、どのように専門性を打ち出して行くかが重要になってきます。
例えば、呼吸器系内科で開業した人の場合、最初は「内科」と「呼吸器科」の二つを看板にするつもりでしたが、考えた結果「呼吸器内科」で行くことにしました。
潜在的患者の数や年齢層などを調べた結果、喘息やCOPDの患者をメインにしたほうがよいと分かったからです。
その結果は予想どおりとなり、早い段階で黒字化に成功しました。
また、勤めていた病院の近くで開業する「お膝元開業」も成功しやすい戦略といえます。
マーケティングと事業計画
東京で開業する人に人気があるのは、目黒区や品川区などです。
所得が高めの人が多いうえ、医師自身もそこに住んでいることが多いからですが、すでにこの辺は競争過多となっているため、新規で開業するには適した場所とはいえません。
ですから、成功するには競合の調査が不可欠です。
例として、競合が多い場所で小児科医として新規開業を成功させたケースを見てみましょう。
子供が多い地域であり、そこには内科と兼任している小児科は多いのですが、小児科を専門としている医院はありませんでした。
そのため、即座に患者を集めることに成功したのです。
一般企業が店舗を構える際は、当然ながら綿密な調査を行います。
それは、医院の開業でも同じことです。
また、事業計画と資金計画も併せて考えて行かなければなりません。
まずは、平均単価を算出します。
これは、要するに一人あたりの予想診療報酬のことで、風邪を主に診察する一般内科であれば4,000円くらい、呼吸器内科であれば7,000円くらい、消化器内科であれば8,000円くらいが相場となっています。
収入の予測ができたら、出費も予測して行きます。
家賃や人件費など、主な固定費を算出したら、損益分岐点を求めます。
この時点で厳しい感じがしたら、事業計画を検討し直したほうがよいでしょう。
決して、無理をしてはいけません。
耳鼻科であれば、看護師を雇う必要性はあるのかということや、診療内容に比べて物件が広すぎはしないかなどという点を見直して行きましょう。
設備投資や人件費など
開業直後の資金繰りに大きく影響を及ぼすのが、「医療機器の選定」です。
勤務時代と同じ環境にしたいという理由で、CTを導入したがる人は少なくありませんが、安い物でも月に50万円くらいのリース料が発生します。
その機器を導入することで、本当に採算がとれるのかということは、慎重に試算する必要があります。
次に、人件費についてですが、開業直後は無理に常勤を雇わず、全員パートにするというのも一つの手です。
開業直後は患者数が大きく変化するので、どのくらいのスタッフで賄えるのかということを判断するのは困難だからです。
パートなら、患者が少ない時はシフトを変更するなど柔軟な対応が可能ですが、常勤だとそうは行かないので、資金繰りに詰まるおそれがあります。
また、どれだけ入念に面接をしても、よい人材かどうかを見極めるというのは非常に難しいのですが、常勤だと迂闊に解雇はできません。
ですから、開業直後はとりあえず全員パートで雇い、ある程度採算がとれる状態になったら、できる人から常勤にして行くというのもよいでしょう。
これは、スタッフのモチベーションを上げる効果もあるので、一石二鳥の方法です。
そして、昨今はホームページの活用も重要なポイントです。
駅の看板やチラシなどの場合は記載内容が制限されているので、専門性をアピールしにくいのですが、ホームページであれば、比較広告などでないかぎり制限はないので、専門に扱っている病気の詳しい解説を載せるなど、積極的にアピールすることができます。